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世界のエネルギーシステムを2100年まで設計する。
東大工学部での卒業研究が、私の価値観を決定づけた話
— 優秀卒業論文賞を受賞して感じたこと —
ふるぷらで事業づくりに取り組む今の私を形づくった経験を振り返ると、
そのルーツのひとつに 東大工学部システム創成学科での卒業研究 があります。
私は最終的に 優秀卒業論文賞 をいただきましたが、
その過程は華やかというより、
"世界規模のエネルギー問題と真正面から向き合う" とても地道な毎日の連続でした。
研究テーマは「世界エネルギーシステムと合成メタンの可能性」
私が取り組んだテーマは、簡単に言うと、
「2100年までの世界のエネルギーシステムの最適設計を行い、 合成メタンや水素がどこまで脱炭素に貢献できるかを分析する」
というものでした。
背景にあるのは、もちろん 気候変動問題。
- パリ協定で掲げられた「平均気温上昇を1.5℃以内に抑える」という目標
- 21世紀後半には"実質ゼロ排出"が求められるという現実
- 化石燃料からの転換を進めるための新たなエネルギー技術への期待
こうした文脈の中で注目されているのが 合成メタン と 水素 でした。
合成メタンと水素——どちらにも"伸びしろ"と"課題"がある
合成メタン
- 都市ガスやLNGの既存インフラをそのまま利用できる
- 2030年に1%以上をガス導管へ注入するという日本の方針
- しかし、高効率のメタネーション技術はまだ研究段階
水素
- 製造プロセスはシンプル
- しかし、水素パイプラインの整備には膨大な投資が必要
どちらも"理想的な脱炭素エネルギー"ではあるものの、
どちらも"現実的な課題"を抱えていました。
だからこそ、
「世界のエネルギーシステム全体の中で、どのタイミングで何が最適なのか?」
を定量的に評価する必要があったのです。
世界モデルを自作し、2100年までの「最適エネルギー構成」を探索する
私の研究では、新たに
PEM CO₂還元やハイブリッドサバティエ反応
といった革新的メタネーション技術を組み込んだ
「地域細分化型世界エネルギーモデル」
を構築しました。
このモデルでは、世界を複数の地域に細分化し、
- 資源供給
- エネルギーの製造
- 変換プロセス
- 貯蔵
- 消費
- 地域間のエネルギー輸送
をすべて線形計画法で取り扱い、
2100年までの総システムコストを最小化する構成 を計算します。
パソコンが唸りを上げながら計算する姿を見て、
「これは世界の未来をつくる計算なんだ」と静かに興奮していました。
研究を通して感じた、"環境は意識ではなく仕組みで変わる"という真理
研究を進める中で気づいたのは、
エネルギーの選択は、個人の"意識"よりも、社会の"仕組み"で決まる ということでした。
これは、のちにUGIPでヨーロッパを訪れたときに感じた
「環境配慮が合理的選択として自然に組み込まれている」という実感にもつながっています。
そしていま、私がふるぷらで取り組んでいるMissionにも同じ思想があります。
優秀卒業論文賞という結果よりも価値があったもの
卒論は最終的に優秀卒業論文賞として評価していただきましたが、
大切だったのは賞そのものではなく、
- 1つの巨大な社会課題に真正面から向き合う姿勢
- 世界規模で考える視点
- 複雑な要素を構造化し、モデル化する技術
- 解決方法が1つではない世界で最適解を考える力
これらの基礎が、まさに今の私の事業づくりに直結しているということです。
"仕組みで人の行動を変える"
"複数の要素を絡めて最適解を探す"
その思考方法は、卒業研究で初めて培われたものでした。